不動産お役立ち情報
新型コロナウイルスが猛威を振るうなか、突然、自分の両親や親族が新型コロナウイルスに罹患し、売却活動が行えなくなったり、売却予定だった矢先に罹患してしまった場合など、入院中でも所有する不動産は売却できるのでしょうか。
また近年、超高齢化社会が進む日本。
高齢者の4人に1人が認知症またはその予備軍といわれており、認知症患者は今後ますます増加が予想されます。
それに伴い、「認知症になってしまった親を老人ホームに入居させる為、実家を売却してその費用に充てる」といったケースも増えてきました。
今回はこのような場合でも不動産の売却は可能か、またその方法についてもご説明します。
不動産所有者が親で入院している場合でも、比較的容易に不動産を売却することができます。売却方法には複数の種類があります。
不動産の売却は原則、買主と売主が出席する必要があります。両者が売買契約の場に出席し、合意することではじめて売買契約が締結され、不動産の売買ができます。売主が入院している場合は病院からの外出許可が下りないと出られませんので、売買契約の場に出席できないと思われる方がいるかもしれません。しかし法的には契約場所の制限はないので、買主・売主・不動産業者が集まれる場所であれば病院でも契約が可能です。大切なのは買主と売主が顔を合わせた場で契約をすることです。そこで、自分が入院中で外出ができない場合は、不動産業者や買主に病院まで来てもらい病院で売買契約を締結することができます。
しかし今回の新型コロナウイルスのような感染症を患っている場合の入院では顔を合わせた場で契約することは不可能です。そこで子供を代理人にして、不動産売買の交渉などを行うことができます。親子関係にある為、親も安心して不動産の売却を任せることができます。また代理人は子供でなくても親族、弁護士でも構いません。ただし、代理人になる為には下記の書類が必要となります。
・委任状(親の直筆、親の実印の押印があるもの)
・親の印鑑証明書
・子供の身分証明書、実印、印鑑証明書
長期間の入院の場合や親の体調で不動産売買の相談ができないことあります。将来的な相続も見越して親から子に不動産の名義を変更し、その後、子供がその不動産を売却するという方法もあります。このケースなら、売却までに時間がかかっても、売却に親が関わるのは子供への名義変更の時だけなので、親への負担は少なくなります。名義を子供に変更する方法には、次のような方法があります。
子供が不動産を親から買い取り、名義を変更するケースです。親に資金が必要な場合、不動産の名義を子供にすることで、親の立場からすれば資金を得ることができ、子供の立場からすれば、自分のペースで不動産の売却をすることができるメリットがあります。
デメリットとしては、子供がまとまった購入資金を用意しないといけないことと、不動産の売却には譲渡所得税がかかることです。譲渡所得税とは、不動産の売却益にかかる税金のことで、次の計算式で求めます。
取得費とは土地や建物の取得価額(建物取得費は建物購入額から減価償却費を差し引く必要あり)や、不動産を購入するためにかかった費用です。
譲渡費用は、不動産を売却するためにかかった費用(不動産業者への仲介料や印紙代など)です。居住用財産など一定の不動産では、特別控除があります。
税率は、所有期間が5年以下か5年超かで異なります。所有期間が5年以下の場合は39.63%、5年超の場合は、20.315%です。例えば、不動産の売却益が300万円で、所有期間が5年以下の場合は300万円×税率39.63%=1,188,900円もの譲渡所得税を納めることになります。
子供がまとまった購入資金を用意できない場合は、親の不動産を無償で譲り受けることも可能です。ただし、不動産を無償で譲り受けるということは、贈与税が課されます。贈与税は、1年間に110万円を超える贈与があれば、その超えた部分に対して10%~55%の税率でかかります。
不動産の贈与では、ほとんどの場合で時価が110万円を超えますので、必ず贈与税がかかります。その為、子供は贈与税の納税資金を用意する必要があります。
相続時精算課税制度とは、生前贈与をした分は2,500万円まで非課税、非課税を超えた分は相続時にその他の相続財産と一緒に税金を計算して払う、簡単に言うと税金の先延ばし制度です。
贈与時は税金の支払いをしないで良いため、すぐに納税資金が用意できない場合は有効な方法です。ただし、2,500万円を超える場合は、超えた部分に一律20%の税率で税金が課されます。毎年使える暦年課税が使えなくなってしまうこと、相続税の基礎控除を超える資産がある場合には、最終的にはあまり得にならないので、売却前に子供に所有権を移すだけのためなら、お勧めではありません。
相続時精算課税制度は将来的に値上がりする資産を値上がりする前に相続してしまうことで、課税価格が安くできるメリットがある制度です。
こまで見てきたケースは、あくまで所有者本人の意思確認ができる場合です。では、売主が認知症や障害で入院している場合、判断能力が不足している場合は、どのようにして不動産を売却すればよいのでしょうか。このようなケースでは「成年後見制度」という方法を用います。
成年後見制度とは、認知症などで判断能力や意思能力が不十分な人を法律により支援・保護することを目的とした制度です。成年後見制度は、介護費用や介護サービスの契約、生活保護、遺産相続、不動産の売買などを判断能力が不十分なことにより行えなかったり、不利に働いたりするのを防ぐための有効な手段です。
成年後見制度には2つ種類があります。
1.すでに認知症を発症し、判断能力が不十分な場合は→法定後見制度
2.まだ認知症を発症せず、判断能力に問題がない場合→任意後見制度
今回は、すでに認知症を発症している法定後見制度を説明します。法定後見制度は、法律の定めによる後見制度です。家庭裁判所が成年後見人などを選任し、不動産売却の契約などの権限を与えます。そのため、売主が認知症で入院しているケースであっても、法定後見制度を利用すれば、不動産の売却が可能です。成年後見人となるためには特別な資格は必要ありません。また親族だけでなく、弁護士や司法書士など第三者も成年後見人になれます。成年後見人に選定された人は、不動産売却の契約をすることができます。ただし、契約の成立には家庭裁判所の許可が必要です。
必要書類を準備します。
・家庭裁判所指定の書式の申立書の記入(窓口で取得又は各家裁のHPでダウンロード)
・医師の診断書
・戸籍謄本(本人と後見人候補者分)
・住民票(本人と後見人候補者分)
・登記されていないことの証明書(後見人がついていないことの証明、法務局で取得)
・財産など本人に関する資料
・申し立て費用、登記費用
・郵便切手
上記の書類のほか、状況によって、追加で書類が必要な場合があります。事前に家庭裁判所や弁護士などの専門家に相談しましょう。
成年後見制度開始の審判は、売主本人の居住している地域の家庭裁判所に申立てをします。後見開始の申立てをできるのは、本人、配偶者、四親等内の親族、検察官などです。売主の家族であれば、問題なく申立ては可能です。
申立書には、成年後見人の候補を記載する欄があります。配偶者や子供など成年後見人になろうと考えている人の名前を記載しますが、記載された人がそのまま選定されるわけではありません。記載された人が、成年後見人としてふさわしいかどうかを、家庭裁判所で審理します。例えば、未成年者や破産者などは、原則、成年後見人にはなれません。
裁判所の審理が終われば、法定後見人の選定の審判が下ります。場合によっては、親族でなく、弁護士や司法書士等が選定されることもあります。審判が終わると、裁判所から審判書謄本が送付されてきます。また、法定後見が開始されると、その旨が登記されます。申立てから裁判所の審判までは、おおよそ1~2カ月程度の時間がかかります。不動産の希望売却時期がある場合は、事前に適切なスケジュールを立てるようにしましょう。
不動産所有者が入院中であっても、売却は可能です。しかし売主である親の入院中の状態や家庭の事情などは様々です。また自分がいつこのような状況になるかわかりません。もしもの時の為に「委任状」(親の直筆、親の実印の押印があるもの)「親の印鑑証明書」「子供の身分証明書、実印、印鑑証明書」は準備しておくと安心です。
当社クラベストでは京都の弁護士や司法書士、税理士などの専門家のサポートを受けることができます。売却をすすめるためには専門的な知識を持つエキスパートへの相談が必要不可欠です。
不動産買取マッチングサイトのクラベストでは不動産売却のご相談を承っております。お困りごとがございましたら、お気軽にご相談、お問い合わせください。
なお、クラベストでは仲介案件も承れます。買取業者ではなく、一般の方に高く売却したいとの要望があります。
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