不動産お役立ち情報
ニュースや新聞などで京都市の「空き家問題」を見かけたことはありますか?
今回は京都市の空き家の現状と問題点の抽出、そして導入が決定した「空き家税」によって、これから京都市の不動産市場にどんな変化が起こるのかを説明していきます。
まずは京都市の現状です。
平成 20 年住宅・土地統計調査によると空き家は全国で約 757 万戸(空き家率は 13.1%),京都府で 17 万戸(13.1%)となっています。
京都市においては空き家は 11 万戸,空き家率は 14.1%となっており,全国および京都府の空き家率を上回っています。
【京都市の空き家の状況】
【住宅数及び空き家率の推移】
また京都市では,昭和 48 年頃から住宅総数が世帯総数を上回り,それに伴い,空き家率もほぼ右肩上がりで増加し続けています。
【行政区別 空き家の状況】
空き家数については,伏見区が最も多く 16,540 戸(空き家率 11.9%),左京区 14,670 戸(空き家率 15.5%),右京区 13,500 戸(空き家率 13.0%)と続きます。
また,空き家率については,最も高い東山区で 20.3%となっており,次いで北区が 16.8%,下京区が 16.0%となっています。一方,西京区は,全行政区で唯一 10%未満となっています。
【種類別にみた空き家の状況】
京都市の空き家の総数は,平成5年~10 年にかけて大きく増加し,平成 20 年の空き家数は平成5年の約 1.6 倍となっています。
一言に空き家と言っても種類があります。
別荘やセカンドハウスになっている「二次的住宅」、賃貸人を募集中の為に空き家になっている「賃貸用住宅」、売却の為に空き家になっている「売却用住宅」、そして転勤・入院のため長期に渡って不在の住宅、建て替えのために取り壊す予定になっている住宅を指す「その他の住宅」の4種類です。
例えば、親が高齢になり、老人ホームなどの施設に入居することになり、元々住んでいた家は荷物も残ったままなので、誰も住んでいないがそのままにしておくといったパターンもその他の住宅に含みます。
種類別にみると,平成 20 年の空き家数は平成 5 年に比べて,「二次的住宅」と「賃貸用・売却用の住宅」が 1.53 倍(二次的住宅:4,700 戸→7,190 戸 賃貸用・売却用住宅:42,200戸→64,770 戸)にとどまっているのに対して,「その他の住宅」は 1.74 倍(22,000 戸→38,330戸)となっています。
【主な政令指定都市と比較した空き家の分類】
こちらは主な政令都市と比較した空き家の分類を割合で示した表です。
京都市は「その他の住宅」の割合が最も高く、「二次的住宅」の割合も広島市の次に高い割合となっています。
では、なぜ空き家が増えると問題なのでしょうか?
【問題点1】周辺への悪影響
空き家を放置すると、雑草が伸びたり建物が老朽化したりして、周囲の景観が悪化します。 景観の悪化は、犯罪の発生やゴミの不法投棄などを招きます。
【問題点2】流通物件の減少。固定資産税の減収。
京都市では家を買いたい需要は一定数あるのに対し、買える物件がない、供給量が減っています。
特に都心部のマンションではセカンドハウス利用の住宅が増加しており、それにより不動産価格が高騰、若年・子育て世代か購入できる物件が減り、他府県に若い年代が流出することによる少子化も問題視されています。結果として京都市としての税収入も減少することに。
空き家を活用、リフォームなどで再生することで住める住宅を増やし、若い世代に定住してもらう必要があります。
【問題点3】隠れ空き家の問題
隠れ空き家とは所有者が分からない物件のことです。
登記されていない、また登記情報から変更があったのにされていないことで
現在の所有者が把握できない物件があります。
2021年に国交省が調査した結果、国内の所有者不明土地の割合は推計24%と言われています。
そこで来年4月から「相続登記」と「住所変更登記」が罰則付きの義務化となります。
申請期限は相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内。申請を怠ると10万円以下の罰則金が課せられます。
こういった背景を受けて、京都市では全国初となる「空き家税」が2026年より導入される予定です。
「空き家税」の正式名称は、「非居住住宅利活用促進税」
京都市の市街化区域内に所在する非居住住宅(住宅のうち、その所在地に住所(※)を有する者がないもの)。
※ 住民票の有無にかかわらず、実際に住んでいるのかいないのか実態の有無によって生活の本拠を判断。
次に掲げる非居住住宅に対しては、非居住住宅利活用促進税を課さないこととします。
ア 事業の用に供しているもの又は1年以内に事業の用に供することを予定しているもの
イ 賃貸又は売却を予定しているもの(事業用を除く)
※ただし、1年を経過しても契約に至らなかったものは除きます。
ウ 固定資産税において非課税又は課税免除とされているもの
エ 景観重要建造物その他歴史的な価値を有する建築物として別に定めるもの 等
負担する税金は、以下の2つを合算した額となります。
・家屋価値割額
・立地床面積割額
家屋価値割の課税標準が20万円(条例施行後の当初5年間は100万円)に満たない非居住住宅に対しては、非居住住宅利活用促進税を課さないこととします。
次に掲げる非居住住宅については、非居住住宅利活用促進税を減免します。
ア 震災、風水害、火災その他これらに類する災害又は盗難により損失を受けたもの
イ 生活保護法の規定による生活扶助を受ける者が納税者であるもの
ウ 国並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組合及び財産区による買収若しくは収納により、又は都市計画法に基づく事業の執行により、使用収益することができなくなったもの
エ 市長が定める次の事由により一時的に居住の用に供していない非居住住宅
・転勤、海外赴任等(5年間に限る)
・入院又は介護施設若しくは障害者支援施設への入所等
・DV被害等による避難
・親族の介護
・増築、改築その他の改修工事
次のいずれかに該当する事実がある旨の納税義務者の申告があり、当該申告が真実であると認められるときは、当該事実が発生した日から3年間に限り、当該非居住住宅に係る非居住住宅利活用促進税の徴収を猶予するものとします。
ア 非居住住宅の所有者が死亡したこと
イ 居住者が死亡したことにより非居住住宅となったこと
令和8年1月1日以後の日(予定)
この「空き家税」の導入により、空き家を所有している方やセカンドハウス利用で住宅を所有している方が売却に動き出し、京都市の住宅供給量が増える可能性があります。
供給量が増えることにより、物件価格もそれに伴い、値下がりする可能性があります。
そうすることで今まで物件を買えなかった、また価格が下がるのを待っていた方にも購入の機会が生まれます。
空き家問題は京都市だけではなく、全国でも深刻化しています。
京都市の空き家税を皮切りに全国でも同じような試みが開始されるかもしれません。
空き家税の導入は不動産市場が大きく動くチャンスです。
今後の動向に注視していきたいと思います。
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